昨年10月中旬、突然こんなお知らせがきました。
「CogAT(コグアット)を実施します。」
CogATとは、直訳すると認知能力テストで、アメリカではギフテッドかどうか判定する参考材料によく用いられるテストなんです。
私もお知らせが来た時点では、CogATがテストであることも知らなかったです。。
先輩ママさんに聞いたり、自分で調べたりしましたが、きっと他にも困っている方がいらっしゃるはず!と思い、この記事ではアメリカの小学生が受けるCogATについて、また実際にCogATを受けた我が子の体験談を紹介します。
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アメリカの小学生が受ける認知能力テスト「CogAT」とは?
まずは、CogATとは何なのか、簡単にまとめていきましょう。
1. CogATはCognitive Abilities Test のこと
CogATの正式名称はCognitive Abilities Test といい、直訳すると認知能力テストになります。
K-12(5歳から高3)向けに作られており、Riverside Insightsという様々なテストを作成している民間業者が作成しています。
言語、定量、非言語の3つのテスト項目があり、推論能力や問題解決能力を測定できると言われているようです。
このテストでスコアが高かった生徒がギフテッド判定の対象になるので、ギフテッドかどうか判定する参考材料としてアメリカの学校では有名なテストです。
Education Week Research Centerが2019年に行った調査結果によると、ギフテッド判定の手段の一つとして最も採用されているテストが、CogATだそうです。
参照:Gifted Education: Results of a National Survey|Ed weeek Resarch Center
2. いつCogATを受けるの?
お住まいの州や学区によって差があるようです。
我が家の学区では2nd Gradeの全生徒がCogATを受けることになっています。
その他の学年の生徒については、担任からギフテッドの可能性があると思われた子が推薦されて受けることもあります。
また、親による推薦があった生徒もCogATを受けることができます。
CogATって、どんな問題がでるの?
CogATは、ギフテッドかどうか判定するテストなのですが、一体どんな問題が出題されるのでしょうか。
2010年に設立された会員制の各種テスト対策サイトTesting mom.comで詳しく解説されていました。
このサイトを参考に日本語でまとめていきます。
1. CogATは全員同じ問題を受けるの?
学年によって受けるテストが異なります。
Testing mom.comに学年別のCogAT のテストのレベル、質問数、テスト時間などが掲載されていたので一部抜粋してみました。全部で14のレベルがあるそうです。
但し、どのレベルのテストを受けるかは、学校ごとに判断が異なるそうです。
CogAT Test Level | Number of Questions | Test Time | |
---|---|---|---|
1st Grade | Level 7 | 136 | 112 Minutes |
2nd Grade | Level 8 | 154 | 122 Minutes |
3rd Grade | Level 9 | 170 | 90 Minute |
4th Grade | Level 10 | 176 | 90 Minutes |
例えば2nd GradeでCogatを受ける場合、Level8のテストを受けることになります。質問数は154問、テスト時間は122分です。
またCogATは、英語を母国語としない人にも適したテストになっているそうです。
キンダーから2nd Gradeのテストの場合、質問を絵や図形などで尋ねる形式なので、英語力に関わらず、試験ができるようになっています。
また、CogATにはバージョンがあり、現在の最新版はForm 8 もしくは Form 7となっています。
2. CogATには、どんな問題が出るの?
CogATのテストはVerbal(言語/英語のこと)、Quantitative(定量)、Nonverbal (非言語)の3つのパートに分かれています。
いどんなテストなのか、いまいちイメージしにくいと思いますので、Testing mom.comでサンプル問題をチェックしてみましょう。
①Verbal(言語/英語のこと)
英語力を必要とするテストです。
関連のある単語を組み合わせたり、空白部分の単語を選んで文章を完成させたりします。
例えば、2nd grade向けのテストでは、こんな問題が出題されます。
レモンはレモネードという飲み物に変わるとしたら、オレンジはどんな飲み物になるか推測させる問題で、apple juice 、soda、grape juice、water、orange juiceの5択から答えを選びます。
この場合は、オレンジはオレンジジュースという飲み物になるので、Eが正解になりますね!
もう1問確認してみましょう。今度は、4th grade向けです。
餌には餌を与えるという意味の言葉が入るので、答えは、Dになります。
②Quantitative(定量)
計算問題や並べられた数字の列からパターンを見つけて次の数値を推測する問題などが出題されるようです。
こちらも2nd gradeの例題を見てみましょう。
この問題もCogAT 2nd Grade Practice Test|Testing mom.comを参考にさせていただきましたが、計算力や直観力が大事になってくる1問です。
答えは、e.4になりますね。
続いては、4th gradeのものです。
数字の列からパターンを見つける問題ですね!1ずつ数字が減っているので、8.5から1を引いたBの7.5が答えになります。
③Nonverbal (非言語)
「あるルールで色んな形が並んでいます。次にくる形はなんでしょう?」「正方形の紙を畳んで穴をあけました。紙を開いたときの正しいイラストはどれでしょう?」というような問題が出題されます。
まるで、IQテストに出てきそうな問題ばかりです。
ここでも、サンプル問題を確認してみましょう。
上の図をよく観察すると、□のなかには●が、〇のなかには▲がと、白い図形と、中の黒い図形が異なっていることに気づけるかが問題を解くカギです。
答えは、①以外は、白い図形と黒い図形が同じ図形になるので、①が答えになります。
次は穴あけ問題です。
紙を畳んで穴をあけたとしたら、紙を開いたときのイラストはどれが正しいか答える問題です。答えはDです。
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3. CogATのテスト対策はできるの?
Amazon(アメリカ)などで、CogAT対策の問題集が販売されてるので、テスト対策は可能です。
Testingmom.com
問題集を買うほどでもないけど、少しだけ問題の傾向が知りたい方は、先ほどご紹介したサンプル問題を掲載しているサイトなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。
Testingmom.comでは、キンダーガーデンから8th Gradeまでのサンプル問題が掲載されています。
各学年5問程度のサンプル問題と解答を見ることができます。
CogATの結果について
CogATの結果通知については、お住まいの州や学区によって差があります。
ただし、ギフテッドかどうか審査するプロセスに入るので、比較的早い段階でスコアの良かった生徒の保護者には連絡があります
ギフテッドかどうかの判定は、CogATだけでは決まらず、これまでの成績や他のテストの結果、親へのインタビュー、先生による評価など、様々な情報を参考に総合的に判断されることが多いです。
CogAtのスコアには、色んな数字が並んでいますが、確認すべきはGrade Percentile Rankの部分です。
我が子の学区の場合は、Grade Percentile Rankが97以上(全体の上位3%以内)の場合、ギフテッドかどうか、TAGプログラムへ参加できるかどうかの判定に進むことになります。
この例の場合は、67が指標の数字になります。
Johns Hopskins大学が運営しているThe Johns Hopkins Center for Talented Youth(CTY)という有名なギフテッドへの教育プログラムがあるのですが、メンバーになる為にはテストを受けなければいけません。
CogATもCTYが受け付けているテストの1つなのですが、同じくGrade Percentile Rankを指標として使用しているようです。
CTYの場合は「QuantitativeもしくはNonverbalで98かつVerbalで98以上」で応募できるようです。
出展元:Existing Test Scores – Johns Hopkins Center for Talented Youth
ギフテッドと判定されたら
州や学区によって大きく異なりますが、ギフテッドと認定されると、その生徒の能力を伸ばすための支援が受けられます。
例えば、飛び級や進学できる学校のオプションが増えるほか、担任の先生からレベルに応じた課題が出されるなどの配慮が受けられるなど、様々なサポートがあります。
体験談:2021年にアメリカ在住小学3年生の子供が受けた「CogAT」
我が子の場合は、昨年(2021年)の10月に3rd Gradeのときに、CogATを受けました。
我が子が通う学区では、本来ならば2nd Gradeの生徒全員が受けることになっているのですが、パンデミック中でオンライン授業に移行していたため、実施が延期されていたそうです。
ちなみに、「CogATを実施します」というお知らせは、テストの1ヵ月前にありました。
我が家の場合は、事前に対策する時間はありましたが、「対策は必要ありません」との担任の先生に言われていたので、サンプル問題を親子で覗いてみるだけにしました。
テストは3日間かけて学年一斉に行われました。
我が子の学区は一人一台クロムブックが配布されているので、自分のクロムブックを使ってのオンライン形式のテストでした。
テストの日は、TAGプログラムを受け持つ先生がやってきて、操作の仕方などを教わったと言っていました。
「ABC~とかの選択肢から、答えを選んだよ。」と子供が言っていたので、全て選択問題だったようです。
予定通り3日間で終了したCogAtですが、子供いわく、いつもと違う問題だったので、「テストだー!」という感じせず、楽しいテストだったそうです笑。
さいごに
CogATはギフテッドかどうか判定するための認知能力テストと聞くと、少々身構えてしまいますよね。
子供たちも、普段受けているテストとは異なるので、戸惑ってしまうテストかもしれません。
テストの日は、「テストを楽しんでおいで!」と送り出すことが親が出来るサポートなのではないかなと思います。